DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>



ウリエルがあの術を使う直前までのルシフェルの剣は、確かに戦うことに迷いを見せていた。

だが、今。ウリエルに向けられている剣にはそれが感じられない。

(いや……)

ピクリとも動かないウリエルに向けられた剣。

そこには、意思自体が感じられない。

実際、どこか不自然な動きで持ちあがった剣。ルシフェルが剣を向けたというよりは、剣自らが目の前の対象へむかったかのような……

(壊れた? それとも意識が、ない?)

ウリエルの反応を伺うかのように、先端を向けたまま静止した剣。

すぐに振り下ろさなかったところを見ると暴走したわけではないようだが、ルシフェルの意思が見えない。

ウリエルの術にかかった時点でルシフェル自身にも何かが起こったのだろうか。

言葉一つ発することなく佇む後姿を、未だ身動きできず見つめるしかないファーレンは、必死で今の状況に思考をめぐらすしか出来ない。

そんな中――

「……う…………」

ルシフェルを挟んだ向こう側で、小さくうめく声が聞こえた。





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