DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


「……アアン……ン……」

ふいに聞こえた小さな泣き声に、前方の道の端にうずくまる黒い影があることに気付いた。

足を速め、近づくにつれ、それが赤子を抱いた女が座り込んでいるのだとわかる。

泣き声は女の腕の中の赤子のものだった。

「大丈夫ですか?」

近寄り、声をかけると

「あ……ああっ……」

顔中ススと涙で汚れた顔を上げ、女はかすれた声をあげてアレックスを見た。

「エルカイザの者です。救助に来ました、安心して」

そう言うと、女は心から安堵したような表情を浮かべ、次にはすがるように片方の手でアレックスの軍服の裾を掴んだ。

「おね……がい……この子を、タスケテ……」

必死の表情で訴えてくる。


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