DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


安堵の表情を浮かべたランスだったが

「けれど、これからどうしましょう」

すぐに別の不安を口にした。

「うん。そうだね……」

ジノも曇った表情で窓の方へと目線を送る。

カーテン越しにうごめく人の頭の影。それは一つや二つではない。

「そうさねえ……全く。あいつらも暇なもんだ」

アンナもややうんざりとした表情で溜息をつく。

街外れで怪我人を見つけたジノがランスを呼んで二人がかりでこの診療所へ運んできたのはまだ昼過ぎで人目も多い時間帯だった。

そのためあっという間に、ディラハン兵がここに連れてこられたことが町中に知れて診療所に人々が詰め掛けた。

その反応自体はアンナの予想範囲内だったからすでに診療所の扉は固く閉ざされていたのだが……

それでも集まった人々は中々帰ろうとせず、深夜になっても一向に騒ぎは収まらない。

人々の要求はただ一つ。

運び込まれた怪我人のディラハン兵の引渡し。

< 554 / 729 >

この作品をシェア

pagetop