DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「……っ」
アレックスは思わず小さくうめいた。
今まで見えなかった女の背中は、全面が黒く焼け爛れている。
赤子にはやけどの跡ひとつ無いのに……
(これは、もう助からない)
倒れた女を見おろすと、まだ息はあるようだ。
女は地面の砂利に爪を立てながら、必死で顔を赤子の方へ向けようとしている。
「おね……がい……その……子を……」
消え入りそうな声で、何度目かの台詞を女は言った。
(この子供を守るために、その身を犠牲にしたのか?)
泣きじゃくる赤子と女を交互に見比べ、そうらしいと気付いた。
「分かりました。この子供は国で保護します」
静かにそう告げると、女は涙を浮かべ、かすかにうなずき……目を閉じた。
アレックスの腕の中の赤子の鳴き声が更に激しさを増す。
だが、女はもう目を開けることはない。