DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「一人か? 確か二人で行ったはずだよな」
怪訝そうに眉根を寄せて尋ねるのはボルグだ。
只でさえ野性味のある顔が、すすで汚れ、不機嫌そうな表情を浮かべているため更に険しさを増している。
「……マリウスは、戻りません」
アレックスは淡々と答えた。
「自ら燃える建物へ飛び込みました。直後に建物は焼け落ちたので生きてはいないでしょう」
「置いて……きたのかっ!? 本当に死んだか確かめたのかっ!?」
アレックスの答えに、身を前に乗り出しボルグが怒声を上げた。
「確かめるまでもなく、アレだけの火の中に飛び込んで助かるわけがない」
ひるむことなくアレックスはただ事実だけを述べる。
「この町に家族がいると言っていた……もしかすると家族の家だったのかもしれない。母親と誰かの名をずっとつぶやいていた……」
ふらふらと町へむかったマリウスの姿を思い浮かべながら自分なりの推測を語っていると
「おい!!」
不意にボルグに軍服の胸元を掴まれ、アレックスは言葉を飲み込んだ。