DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
コートを脱ぎ、枕元に畳んで置いて毛布をかぶろうとした時。
「アレックスさん」
小声で名前を呼ばれ、声の方へ顔を向けると、先ほどまでこちら側に背を向けて体を丸めていたジノが、いつの間にかアレックスのベッドの方へと体の向きを変えて、アレックスへ視線を向けていた。
「すみません。起こしましたか?」
寝息をたてている牧師まで起してしまわないよう、アレックスも小声で答える。
「ううん。あぶなく寝ちゃうとこだったけどね……僕、待ってたんだよ」
だが、小さく欠伸まじりに、ジノはそんな答えを返してきた。
「待ってた? 俺を?」
「うん。あのね……」
首を傾げるアレックスの見ているなか、そっとベッドから抜け出したジノは、その不器用な歩き方からは考えられないほど身軽に、やってきたアレックスのベッドによじ登ってきた。
まだ体は起したままだったアレックスの前にちょこんと座り
「あのね。僕も見たいんだ、さっき牧師さんに見せてた写真」
そうねだる。