DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>




一方。ミカエルを置いて先に診療所へ戻ったアレックスは、待っていたアンナに言われ、診療所奥の部屋へ向かった。

細い廊下の突き当たり、左右に二つのドアが見える。

小さな診療所だけに宿泊用の部屋は二つしかない。片方はミカエルと連れで、もう片方にジノと牧師にアレックスという部屋割りになったらしい。

アンナとジョセフは地下に居住用スペースがあるらしいが、今夜はディラハン兵の様子見も兼ねて診察室のベッドで交互に仮眠をとると言っていた。

元々すっかり深夜を過ぎていたし、ミカエルと外へ出て戻るまでにしばらくの時間もあった。

先に休んでいるであろうジノと牧師を起こさないよう、静かにドアを開け部屋に入る。

二つ置かれたベッドの一つに、牧師とジノが一緒に寝ているのが、天井にある小さな窓から差し込む月明かりで確認できた。

足音を立てないよう、静かに空いているベッドに近づき腰を下ろす。

微かにスプリングが軋んだが、二人の睡眠の妨げになるほどのものではない。

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