DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>




水差しから、最期の一滴が花弁に落ち、跳ねる。

それを物憂げな表情で見つめるガーフィールドの耳に、不意に、ドアの呼び鈴が鳴る音が聞こえた。

珍しいことがあるものだ。

日によっては一人の客も訪れないこともあるこの店に、つい先ほど珍しい客が訪れたばかりだというのに、そう間をおかない内にまた誰か来るなど。

「いらっしゃい……」

被りなれた古書店の店主の顔を即座に取り繕い、振り返る。

だが、せっかく貼り付けた笑顔は一瞬で無駄になってしまった。

開かれたドアから現れた長身の黒い影に、ガーフィールドは目を見開かざるを得ず、言いなれた挨拶は途中で掻き消える。


「久しぶりだな」

低く、滑らかな低音が鼓膜に響く。

思いもかけない……だが、ついさっきまで考えていた人物。

当の本人が、目の前に立っていた。




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