DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
(―3―)






「じゃあ、行くかの」

店のドアに閉店の札をかけて鍵を回す。

留守中ひょっとするならリリスが戻ってくるかも知れないが鍵は持っているからかまわない。

店はどうせ客などほとんど来はしない。店を閉めることになんの問題はない。

振り返りもせず行く先を目指し足を踏み出すと、音もなく隣に黒い長身が並んだ。

ちらりと横目で男の顔を見やる。

異様なほどに整った青白い横顔。エルカイザでは珍しい黒く長い前髪に見え隠れする深みのある蒼は、記憶にあるままにやはりどこか悲しげだ。



ジュード・ヴァレンタイン。



二年程前……花を残して突如姿を消した男が、なんの予告もなく再び店に姿を現した。

ジュードはガーフィールドがまだ軍の裏仕事の斡旋をやっていた頃の客だ。

そういう仕事内容ということもあり、当時の仕事で付き合いがあった者の中にはジュードのように突如姿を消したきり戻らない者も多い。

ましてや、姿を消した時の事情が事情だっただけに、再びこの町に現れることはないとどこかで思っていたガーフィールドが驚くのも無理はなかった。


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