DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
だが、それはそう長くは続かなかった。
――ピーピーピー
不意に鳴り出した無機質な電子音。
静寂を破るその音に、ミカエルはコートのポケットに手を差し入れ、そこから小さな円形の通信機を取り出した。
「うるさいわね……」
不機嫌そうに通信機の緑色に点滅するボタンを押して、その上の四角い液晶に表示された文面を確認すると、ジュードの顔を仰ぎ見てやれやれといった表情を浮かべながら口を開く。
「戻って来いだって。忘れてたわ……お披露目パーティーのこと」
「ああ、例のパレードか」
「何で今更あたしたちのことを発表する気になったのやら、あんなに秘密にしてたのにね」
「いつの時代も、お偉方の考えはよくは分からないものさ」
ジュードの答えを聞くと、ミカエルは苦笑を浮かべた。
「長生きなあなたが言うのだからそうなんでしょうね」
ミカエルの問いに、長生きという言葉が不自然にしか見えぬ黒髪の青年はゆっくりと頷く。
「そんなものだ」