DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
ジュードの返事を聞いたミカエルは納得したかのように頷き「そうね」と小さく呟くと、廃墟の方へと振り返り、すっと右手を持ち上げた。
廃墟へと向けられた手の平。
「じゃあ、そろそろ戻るわよ。吸血鬼さん」
その手の平に赤色を帯びた光源が生まれる。
それは見る見る間に熱を帯び、次第に大きな炎の塊へと変貌を遂げ
「あっちの痕跡は消しとかないとね」
言うと同時にミカエルが軽く指を弾くと、大きく螺旋を描きながら炎は廃墟へ達し、見る間にその全てを包み燃えあがった。
轟々と音をたてて燃え、崩れ行く廃墟に生きているものはすでになにも存在しない。
刃で切り刻まれ、その血を、人ならざるモノに奪われた肉塊が残るのみ……
「なにひとつ残さず、燃え尽きればいい」
一瞬憎しみの色を宿した瞳でその様を一瞥すると、ミカエルはクルリ踵を返し、その場に背を向け歩き出す。
ジュードはもう何も語らず、ただその後につき従い、その場から離れた――