DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


「ええ……何度か会いに行きました。もっとも先日行ったら、特別病棟に移ったので今は面会できないと断られたんですが」

「特別病棟?」

「なんでも、精神面がいつまでたっても安定しないので、病室の他の子供たちが怯えるからだとかで……」

ルーシーは怪我がひどかったため、孤児院の敷地内の医療施設に収容されていた。

何度かアレックスは様子を見に行ったが、確かに目は虚ろで、ずっと呪いの言葉を吐きつづけるルーシーはアレックスからみても異様ではあったから、ほかの子供が怯えても無理はない。

「それからはしばらく行っていません」

アレックスがそう言うと、ボルグは

「そうか」

と短くつぶやき、しばらく無言で何か考えこんでいたが……不意に意を決したかのような表情を浮かべアレックスの目をひた、と見据え、重い口を開いた。

「あの娘な……死んだぞ」


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