DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
(―2―)




「え……?」

小さく、トクンと、アレックスは自らの鼓動が跳ねるのが分かった。

「死んだ?」

「ああ、首を吊って自殺したそうだ……たまたま耳にしたんだが、お前が気に掛けてるようだったからな。いずれは耳に入るだろうし」

「自殺……」

耳にした言葉を反芻するように口にして、アレックスは思考を巡らした。

(自ら命をたった? 何故?)

まともな意識ももたず、呪いの言葉を吐きつづけていたルーシー。

(だが、何故、今更自ら命を絶つ?)

収容されて二ヶ月。

異様な状態ではあったが、彼女は自ら命を絶つような事はしていない。

「なんでも、一度正気に戻ったらしい。家族を失ったことを改めて思い出して……思いつめたんだろうな。翌日遺体で見つかったそうだ」

黙りこくったアレックスを気遣うかのように、ボルグが恐る恐る言葉を足した。


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