DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


「何故、それを?」

アレックスに問われ、ボルグは一瞬『しまった』というような顔をしたが、すぐに決まり悪そうな笑みを浮かべ

「いや、すまない。悪気はないんだ」

そう言って、おもむろに勢いよく頭を上げた。

「いやな、お前が気に掛けてるの知ってな、俺も興味が湧いて……あの娘のこと調べてた。だって、お前、今まで他人に関心もつように見えなかったからな……どっか人間離れしてるっていうか……冷たいっていうか……」

そこまで言って、またハッとしてボルグは口をつぐんだ。

「すまん」

再び謝るボルグを見ていたアレックスの口から、フッ、と笑みが漏れる。

それを見たボルグの顔に、今度は驚きの表情が広がった。

アレックスが笑う顔など今まで一度も見たことがなかったからだ……


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