D U S H ! !
「りょーくんが真面目な格好をしてる…」
料亭に着いてまず俺が驚いたことは、いつも変な格好をしておちゃらけー☆みたいなりょーくんがスーツを着ていたことだった。
「お、ヤマト。これからよろしくな」
「あ、うん…」
それは「これから家族としてよろしく」の「よろしく」な訳で、「よろしく」という単語が初めて重く感じた。
両家は料亭の『松の間』で、始めはたわいもない世間話から入っていった。
今年は猛暑ですねーだとか、なのにセミは本当に少なくなりましたねーだとか。
俺は部屋の隅っこで正座をしていた。
なんだか空気がまずい。
向かいを見ると、りょーくんが異常に緊張しているのがわかる。
気ままに喋っているのは両家の母親だけだ。
「…ところで。」
そんな世間話を断ち切ったのは、父さんだった。
「良輔くんは、大学を辞めて働くのか?」
「…はい。大学はできれば休学したいのですが、そうすると正社員としては採用されなくなるんです」
俺も将来はあんな怖い顔されて答えなきゃいけないのか。
そう思うと結婚ってしんどいな、と思った。
「弥生はもちろんだが、お腹には子供もいるんだ。アルバイトで食っていけると思ってるのか」
「いや…それは、正直苦しいと思います。だけど、弥生さんは私の弁護士になるという夢を応援してくれていて…」
「そうだよ、あたしも子供産んだらバイトするし!だから大学を辞めるのだけはやめてほしいの」
嫌だなー、この空気。
これってりょーくん殴られたりしないの?
はー、大変だね。
俺はなんだか客観的に見てしまう。