D U S H ! !
「これでパパが帰ってきてたら大変だったよ」
マンションを出て、少し。
別に送らなくていいよと言ったが、
『じゃあ、あの信号までは送ってく』
100メートル程離れた信号を指差しそう言われて、自転車を押して並んで歩いていた。
「どんなふうに?」
「ユカが男連れてきたーって泣くね、あの人は」
「へえ」
やっぱり、家に行くのは止めれば良かったかな。
…でも、ギターをずっと弾いていただけだし、向こうは親切心なんだし。
「お兄ちゃんがさ、また来いって。今度は今よりも上手くなってギブソン弾きに来いって」
「…頑張るよ」
お兄さんの部屋で見た、あのギブソンを弾きこなせるようになるまで、どれくらいかかるかなあ。
「…あ、今度さ、2人で一緒に楽器屋さん行かない?あたし、新しいベースを探してるの」
「お、いいな。新しいベースか。俺も高級ギターが欲しい」
「ヤマトくんはアンプを買いなよ。小さいのじゃいい音出ないよ」
「そうだな」
…なんて、なんともないようなフリしたけど、心臓はばくばく。
『そこは楽器屋巡りしようぜだろ(笑)』
鮎川に馬鹿にしたように言われたそれが、実現しちゃう。
ただ隣にいられるだけでも緊張して頬が赤くなるのに、デートだなんて。
もうさ、このまま告っていい?