王子様は金髪ヤンキー!?〜My last lover〜
「その男じゃなきゃダメなのか?」
「ダメ。今は……裕以外考えられないの」
「へぇ」
その後、家に着くまでの間、俺達は一言も言葉を交わさなかった。
途中、何度か愛川未来の顔を横目で見た。
だけど、何か思いつめたような顔をして明らかに上の空で。
その態度に胸のモヤモヤは募っていくばかりだった。
「わざわざありがとう」
家の門扉の前で愛川未来は俺に頭を下げた。
「別に。俺が暇だっただけだから」
「そっか。じゃあ……――」
「……――待て」
「……え?何?」
俺が呼びとめると、門に手を掛けた愛川未来は振り返りながら不思議そうに俺を見た。