Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―





自分以外が発した音で、ふと自分一人の空間から現実へと戻った。



玄関から、兄貴が帰ってきた音。



片付けもすっかり終わってまったりとすごしていた俺は、玄関の方に一度視線をやり、今度はベランダのある窓を見る。



いつの間にかすっかりと日が落ちてしまって、室内も少しずつ温度が下がってきている気がする。





「ただいま」


「おかえり……ってわ!」




忘れ物って何だった?と聞く前に、座っている俺にぶつけるように降ってきた、それ。




ガサガサ音がしながら俺の足の上を陣取り、俺は兄貴の方へと顔を上げる。



「さみー」と車からここまでしか外気に触れていないくせに寒がる兄貴は、

立っているついでか暖房のスイッチとカーテンを閉めてくれた。




「何、これ」


「お前の」


「俺の?中身……は?」


「服」




それが兄貴が取りに行った忘れ物?



意味が良く分からず、止められているテープを剥がして紙袋を開ける……と。





< 141 / 162 >

この作品をシェア

pagetop