Engagement Ring―かすみ草―×―ひまわり―
自分以外が発した音で、ふと自分一人の空間から現実へと戻った。
玄関から、兄貴が帰ってきた音。
片付けもすっかり終わってまったりとすごしていた俺は、玄関の方に一度視線をやり、今度はベランダのある窓を見る。
いつの間にかすっかりと日が落ちてしまって、室内も少しずつ温度が下がってきている気がする。
「ただいま」
「おかえり……ってわ!」
忘れ物って何だった?と聞く前に、座っている俺にぶつけるように降ってきた、それ。
ガサガサ音がしながら俺の足の上を陣取り、俺は兄貴の方へと顔を上げる。
「さみー」と車からここまでしか外気に触れていないくせに寒がる兄貴は、
立っているついでか暖房のスイッチとカーテンを閉めてくれた。
「何、これ」
「お前の」
「俺の?中身……は?」
「服」
それが兄貴が取りに行った忘れ物?
意味が良く分からず、止められているテープを剥がして紙袋を開ける……と。