夜空に響く恋【短】
花火の下で、君と初めて交わしたキス。


夏草の匂いと君の香水の匂いが、あたしの鼻を優しくくすぐった。


「俺も、ずっと好きやった」


唇を離した君は、優しく微笑みながら言った。


「ずるい……」


君は、あたしの心を捉えては掻き乱す。


決して離してはくれないけど、それを幸せだと感じる。


「あっ、花火終わったやん……」


「え?」


君に言われて顔を上げると、夜空には月と星だけが輝いていた。


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