至近距離恋愛 -Hero-
「雷君、どうしたんかな〜?」


「え?」


不意に母が放った言葉に、ドキッとしてしまった。


「ほら、昨日うちに来てへんやん。今日も朝ご飯食べに来てへんし、何かあったんかな?」


「さぁ……。忙しいんちゃう?」


あたしはそんな答えを零して、立ち上がった。


「杏里、雷君と喧嘩でもしたんちゃうん?今までこんな事なかったやんか……」


「別に喧嘩なんかしてへんよ……」


母に背中を向けたまま小さく言って、リビングを後にした。


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