至近距離恋愛 -Hero-
しょんぼりしている時の雷は、すごく小さく見える。


少しだけ背中を丸めているからかもしれない。


あたしより20センチも背が高いハズなのに、喧嘩した後の雷は本当に子供みたい。


「杏里……」


「もうイイから」


悲しそうな表情であたしを呼んだ雷に、呆れながらも微笑んで見せる。


「お前さ……」


「何?」


ニッと笑った雷に、嫌な予感が過ぎる。


「腕、太いな」


それは的中し、彼はそんな事を言ったんだ。


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