至近距離恋愛 -Hero-
「はい」


「何やねん、これ」


雷は、あたしが差し出したお皿の上に乗っている物を見て、不服そうな表情をした。


「朝ご飯」


あたしが答えると、彼が唖然としたように瞬きをした。


「朝ご飯……って、食パンだけやんか!」


「人に用意させといて、何か文句あるん?」


眉を寄せて、文句を漏らした雷を睨む。


「せめて、マーガリンくらい塗れや……」


彼はブツブツ言いながらも、諦めたように食パンにかじり付いた。


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