至近距離恋愛 -Hero-
「……なぁ、杏里」


不意に真面目な表情になった雷は、一呼吸置いてから続けた。


「俺、今日泊まるからな」


「はぁ……?」


「だから、今日泊まるから」


小首を傾げたあたしに、雷が再度そう言った。


「何で?」


「いや、何でって……お前一人やったら物騒やろ」


雷はさも当たり前と言わんばかりに言ったけど、あたしは彼と二人きりで過ごすなんて、どうしても納得出来なくて…


小さなため息をついた後、眉を寄せながら口を開いた。


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