至近距離恋愛 -Hero-
「めっちゃ悔しくてムカつくのに、あいつの顔が頭に焼き付いて離れへんかってん……。だから、あいつが違うオンナとホテル入って行くのを見た時、すぐわかったんやろな……。『杏里がおるのに何してんねん』って思って、あいつの事殴りそうになったわ……」


雷は悔しそうにしながら、自嘲気味に笑った。


「あいつのせいで杏里が傷付くとこは見たくなかったから、ずっと黙ってたけど……。結局、俺が杏里の事を傷付けたんやな……」


その言葉を聞いた途端、あたしの瞳からは益々涙が溢れ出した。


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