至近距離恋愛 -Hero-
「話あるねんけど……」


「何?」


制服に着替え始めた雷は、欠伸を噛み殺しながら振り向かずに訊いた。


「あのさ……」


そう切り出して、小さく深呼吸をした後…


「好きやねんっ……!」


思い切って、雷の背中に向かって告げた。


「はっ?」


その直後、彼は怪訝な顔で振り返った。


「何がやねん?主語がなかったらわからんやろ……」


呆れながら言った雷に、伏し目がちに口を開く。


「雷の事が……」


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