Winter bell
「すごいやんっ!!」


テーブルに並べた朝食を見た晴稀が、瞳をキラキラと輝かせた。


「冷蔵庫、何もなかったやん!これで空っぽになったよ……」


あたしが呆れていると、彼はバツが悪そうな表情になった。


「一人やったら、飯なんか作らんからなぁ……」


「ご飯はちゃんと食べてって、いつも言うてるやん!体壊したらどうするん?」


あたしは、言い訳をした晴稀を叱った。


「そうなったら、羅夢が看病してくれるやろ?羅夢と過ごせる時間が出来て、ラッキーやわ」


「えっ……?」


満面の笑みを見せた晴稀が、あたしの頭を優しく撫でた。


「晴稀はずるいわ……」


ドキドキしているあたしの隣で、彼はずっと笑っていた。


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