Virgin Snow
「あたしが仕事を辞める時にね、たくさんのお客に引き止められちゃって……。結局、中々踏み切れなかったの……」


少しだけ寂しそうに微笑んだ澪さんは、きっとキャバの仕事が本当に好きだったんだと思う。


「そしたら、廉と喧嘩になっちゃって……」


澪さんがそう言うと、今度は廉さんが口を開いた。


「自分の女がキャバ嬢なんて、嫌に決まってるだろ!」


「廉は独占欲が強いからね……」


澪さんが苦笑いすると、嵐がすかさず口を挟んだ。


「独占欲とか関係ねぇよ!自分の彼女がキャバ嬢やってたら、男はヤキモチ妬くっつーのっ!!俺だって、樹里には絶対にやらせねぇし!」


「嵐……」


嵐の言葉が嬉しくて、幸せを感じた胸の奥がキュンと鳴いた。


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