Virgin Snow
ふと窓に視線を遣ったあたしは、柵に積もった雪に気付いた。


「積もってる♪」


窓に張り付いて外を眺めてみたけど、ベランダじゃないから窓の柵が邪魔をして下が見難い。


「積もってるな♪」


背が高い嵐は、下を見ながら笑った。


「ん〜……」


目を凝らしてよく見ると、マンションの下に見える街は真っ白な雪で埋め尽くされている。


「フフッ♪」


「何?」


「ネックレス探すのに、何時間も迷ってくれたんでしょ?」


あたしが笑顔で尋ねると、嵐は真っ赤になりながら反論した。


「はぁ!?っつーか、澪が言ったのかよっ!?」


あたしは意味深な笑顔を向け、マンションの下に広がる街にまた視線を落とした。


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