君に捧ぐ‥



「ただいまぁー」



「おかえり。ご飯できてるよ」



「いらない」




あたしは、自分の部屋へ急いだ。





パタン…



「はあ……」



ズル…


「だめじゃん、あたし………」



無意識に、凪ちゃんへと足が動いていた。



「まだこんなに、凪ちゃんが頭の中にいるよ…っ」




凪ちゃんの笑顔を思い出せば、苦しくなる。切なくなる。悔しくなる。泣きたくなる。



でも、それ以上に…

暖かくなる。
胸がキュンとなる。



こんなにも、凪ちゃんのことが好きなのに。

凪ちゃんは、沙帆さんのことが好きで。

沙帆さんも、凪ちゃんのことが好きで。


2人の間に、あたしが入る隙間なんてない。




それでも、触れたくて。見てほしくて。愛しくて。




好きになってもらえなくても。嫌われても。もう二度と笑顔を見ることができなくても。


あたしは凪ちゃんを、好きでいたい。




「好き…好きだよ、凪ちゃん……あたしじゃ、ダメなの?」


どうして、沙帆さんなの?


どうして、あたしじゃないの?


どうして、凪ちゃんじゃなきゃダメなんだろう?



答えなんて、見つからなくて。


苦しくなる。




「もう少しだけ、好きでいてもいいよね…?」




想うことは、罪になりますか?










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