苺のアップリケ
何かに悩んでいるらしいひよの、意味ありげな態度。
この返事が大切だってことは、感覚が伝えてくるのに、正解がわからない。
「…答えられないなら、いいよ。」
あっさり言ったひよのまぶたは閉じられていて、表情が読めなかった。
不安に駆られて立ち尽くす自分が不甲斐ない。
「今は、幼なじみだろ?」
ようやく口にした関係は余りにもありきたり過ぎて、『今は』に込めた想いに気づいてくれることを祈った。
そう、僕には勇気がない。
今の関係を壊したくない。
息を潜めて反応を待つ僕の前で、ひよは目を閉じたまま微かに笑みを浮かべた。