レンズ越しの君へ
そんなあたしの事を、綾はずっと気にしてくれていた。


「ごめんね……。あの時、無理にでもうちに連れて帰れば良かったね……」


「綾のせいじゃないよ……。いつも言ってるじゃん!」


綾が心配してくれる度に、笑顔でそう言った。


「いくら誕生日だからって、潰れてた澪を廉さんと帰すんじゃなかった……」


「綾……」


眉を下げる綾を見ながら、ニッコリと笑う。


「もし酔ってなくても、あたしはきっと廉のとこに行ったよ!だから、もう気にしないで♪」


「うん……」


綾はまだ気にしていたみたいだけど、小さく笑って頷いた。


あたしの言葉は、嘘じゃない。


あの時酔っていなかったとしても、あたしはきっと廉に落ちていたと思う。


だって…


廉は、自分(アタシ)よりもあたしの事をよくわかっているから…。


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