レンズ越しの君へ
廉が会計を済ませている間に、あたしは先に店を出た。


「ユイ?」


不意にそう呼ばれて、驚きながら声がした方を見た。


「おぉ〜!やっぱりユイじゃないか!」


そう言って笑顔で駆け寄って来たのは、店の常連客だった。


「こんな所で会うなんて偶然だな〜」


「あっ、こんにちは……」


咄嗟に笑顔を見せながら頭を下げたけど、こんな場面を廉に見られてしまったら、彼は間違いなく不機嫌になってしまう。


「店と雰囲気が違うから、一瞬人違いかと思ったよ」


不安でいっぱいになったあたしは、適当に話を切ってその場から離れようとしたけど…


「どうした?」


それを決行する前に、店から出て来た廉の声が後ろから聞こえて来た。


「ユイ、知り合いか?」


常連客はそう訊いて、彼の顔をまじまじと見た。


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