レンズ越しの君へ
涙を拭ってから更衣室に行って、急いで着替えた。


1分でも1秒でも早く、廉に会いたくて…。


とにかく、彼に謝りたくて…。


でも……


もし、喧嘩になったら……?


あたしは、本当に仕事を辞められるんだろうか…。


一時的な感情だけで動いているのなら、きっとまた同じ事の繰り返しになってしまう。


あたしは、一体どこに向かって歩けばイイの……?


急に不安に襲われて、帰り支度をしている手が止まった。


苦しい……


胃が痛い……


気持ち悪い……


慌ててトイレに駆け込んで、泣きながら嘔吐した。


「うっ……っ……!」


原因はきっと、飲み過ぎと精神的な弱さ。


こんな自分が嫌い……


悪いのは自分自身なのに胸の奥が苦しくて、頬を伝う涙が止まらなかった。


< 197 / 404 >

この作品をシェア

pagetop