レンズ越しの君へ
翌日からもお客に電話を掛けていき、一人一人に仕事を辞める事を丁寧に告げた。


お客の反応は様々だったけど、ほとんどの人があたしが辞める事を惜しんでくれた。


あたしはそんな気持ちを嬉しく思って、心の底から感謝していた。


そして…


最後の日までお客に楽しんで貰う為に、とにかく必死に仕事をした。


いつも以上に飲んで、一人一人に心を込めて挨拶をする。


もちろん、満面の笑みで。


だけど…


時には、瞳に溢れて来る涙を堪えながら…。


あたしが連絡したお客は、ほとんど来てくれた。


その上、いつも他の子を指名しているお客までもが、あたしに声を掛けてくれたり、お酒を入れてくれた。


そんな温かくて優しい日々が続いていた。


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