レンズ越しの君へ
両親は、嵐にはすごく優しかった。


子供の頃から頭が良くて運動も出来た嵐は、よく周囲から褒められていた。


そしてそんな嵐は、両親にとって自慢の息子。


だから…


嵐が両親の気に障る事をしても、大概の事は見逃して貰える。


あたしはずっと、嵐の事が羨ましかった。


普通なら、あたしが嵐の事を恨めしく思ったりするんだろうけど…


あたし達の場合は、違った。


嵐はあたしが両親に怒られる度に庇ってくれたり、暴力が酷い時には体を張って守ってくれた。


食事を抜かれたらこっそり部屋に差し入れをしてくれて、後で両親にバレないようにゴミも引き取ってくれた。


だから、あたしは今でも嵐にすごく感謝している。


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