レンズ越しの君へ
両親の事を考えると不安はあるし、前途多難なのは目に見えている。


あの人達が一筋縄で行く訳が無いし、何よりもまずは家出の事を怒られると思う。


だけど…


あたしの心は今、久しぶりに嵐と会える喜びでいっぱいだった。


デートをする訳じゃないのに、服を考えてみたり、髪型の事まで気にしてしまう。


湯舟に浸かりながら嵐と会える日の事を想像して、ウキウキしていた。


嵐、背伸びたかな?


もしかして、あたしの事がわからなかったりして……


色んな事を考えているうちに、すごく楽しくなっていった。


自然と零れる笑みで、顔中が緩んでいく。


あたしは、週末が待ち遠しくて仕方なかった。


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