レンズ越しの君へ
目的地のビルの駐車場に着くと、あたし達は荷物を下ろした。


「ねぇ、それ貸して!」


手を差し出すと、廉があたしの手を握った。


「荷物の事だよ?」


「お前はこれでイイんだよ」


「フフッ……」


廉は、思わず声を漏らして笑ったあたしに満足げな表情を見せ、歩き出した。


あたし達はビルの中に入り、指定された部屋に向かった。


「ここ?」


そう尋ねたあたしに頷いた廉が、部屋のドアを開けた。


「あっ、Shikiさん!おはようございます!」


あたし達に気付いたスタッフの一人が、駆け寄って来た。


「おはようございます」


廉は会釈をしながら挨拶をして、撮影の準備がしてある方へと歩き出した。


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