同じ空の下で

「涙ちゃんだよねっ?!」

え…。


もしかして、


「…魔法使い?」 


あ。


言っちゃった…。


心の中だけのあだなにしとこうと思ってたのに…。


「あははっ!!魔法使いっ!?それって、俺?」


うわぁ〜。

絶対、変な子だと思われた…。


「……。」


私は恥ずかしくなって、俯いてしまった。


「涙ちゃんって面白いよなっ!!俺、魔法使いって言われたの初めてだっ!!」


イヤ…、普通そうだろう…。


「あれ?でも、涙ちゃんってウチのクラスにいたっけ??」


「橘ぁ〜、今日転校生が来るって、吉井ちゃんが言ってただろー。」


私達の話を聞いてた、私の前の席の子が魔法使いに言った。


「あ?そうだっけぇ?」


「そうだよ〜。」


「え?じゃあ、涙ちゃんって転校生なの?」


「…うん。」


そういえば、この人いつまで私の事、涙ちゃんって呼ぶんだろう…。



「へぇ〜っ。なんかビックリだよなぁ。また、会えたら良いなって思ってたけど、こんな形で会えるなんて。」



今は授業じゃなくても、LHRの時間。

それでもお構いなしって感じでこの人は話してた。



吉井先生。

注意して下さい。



そろそろ、私この人のノリに限界を感じてきてるんですけど…。



「もしかして運命?」



は?


何を言ってるんだ、この男…。



あんたと、再会したのはただの偶然だろ。




「橘くん。」


その時、吉井先生が魔法使いを呼んだ。


「ん?何ぃ?」


「何ぃ?じゃないないでしょっ。そんなに、津月さんと話したいならまず廊下で頭を冷やしてからにしなさい?」



「…え?」



「話を聞く気がないなら、廊下に立ってなさーぃっっ!!!」




……。



吉井先生、怖っ!!






これからの学校生活、真面目に過ごそう……。





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