※ご主人様は完璧王子?※




「ちょっとすいません。」


ディーラーが口を開きこっちへと足を進めてきた。



そして龍ヶ峰の前までくるとにこっと笑ってこう言うのだ。


「身体検査をさせていただいてもよろしいですか?」


「はぁ……どうぞ。」


あたしは龍ヶ峰から離れ、ディーラーがあちこち触るのをただ眺めた。
こっちに近づいたときあのエレベーターでぶつかった人と同じ柑橘系の匂いがしたのはなぜ……?



そしてそのディーラーが龍ヶ峰の袖を触ったときだった。


ディーラーは一瞬びくっと震えたあと袖から一枚のハートのエースを取り出してそれを掲げてこう言ったのだ。


「龍ヶ峰様からカードが見つかりました。

これはイカサマがあった物的証拠です。
よって龍ヶ峰様は失格の上退学処分、勝者は白山様です。」






………………え?
…嘘でしょ………?


あたしはただ涙が浮かんでいる両目を見開き龍ヶ峰をみた。


すると龍ヶ峰は今までに無いほどの狼狽を見せ、そしてこう呟いたのだ。




「………俺は……やってない………」





< 213 / 244 >

この作品をシェア

pagetop