※ご主人様は完璧王子?※


その子は深く息を吸って吐いたあと静かに話しはじめた。


「……今日、あたし、学校にくる途中で貧血をおこしたんです。

だから五階の保健室で休ませていただいてたんです。


だいぶよくなって保健室をあとにしようとドアを開けたちょうどそのとき、右の方からどさってすごい音がしたんです。
びっくりしてこの柱に身を隠しながらそっとそっちを見ると、女の子がそのリボンの子にまたがって首を絞めていたんです。


しばらくすると後ろでそれを眺めていた男性が首を絞めるのを止めさせ、それと同時にハンカチをその子の口に押しつけました……



そしたらリボンの子は今まで微かに抵抗してた腕もだらんと下げました…………
その二人はその子を大きなバッグにいれて何事もなかったかのようにそこを去りました………



あたし………あたし……助けたかったのに…臆病だから……足が…動かなくて………
もう……どうしたらいいのかわかんなくて…………………」




後半にいくにつれまたその子は泣き出した。



押し殺すようなすすり声が俺達の不安をかりたてる。





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