ひとひらの願い―幕末動乱―
「お前、血迷ったか?」

「血迷ってなんかないです。私は、本気ですよ?」


副長は私の意見を聞き入れてくれない。

いや、これは彼なりの優しさだろうってことは、もう気づいている。


"女は戦うんじゃねぇ"


きっとそういう意味だと思う。


相変わらず副長は一歩も退こうとしない。

私は殺気をむき出しにして、彼を睨むような目つきになる。


「―死んでも知らねぇぞ?」


するとようやく、返事が返ってきた。
睨んだのが効いたかな…?


そんなこと考えていながら、私はこくりと頷く。


「――ならついてきやがれ。戦いたい意志があるなら、お前も入れてやるよ」

「いっ…いいんですか!?」


喜んではいけないと思っていたけれど、私は勢いで思わず立ち上がってしまった。



みんなと一緒に戦える。

それが嬉しくて――――…


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