ひとひらの願い―幕末動乱―
しかも状況は最悪。

隣にいるのが麗奈で、私を呼び続けていたことが分かったのは、別にいいのだけれど……


"さされてる"って…そっちなの……


「どうしたんだ~? 高蔵がぼーっとしてるなんて、お前らしくねぇなぁ」

「すっ…すいませんっ!」

「少しは成績のことも考えろよ~」

「…はい」


みんなに笑われるわ、散々な目に遭うことになるなんて……

しかも、何でよりによって苦手な理科の授業中…?


…あ、そうか。


今日は11月11日で、11時11分11秒に願い事をすれば、叶うって――――…

…叶う、って!?


『高蔵。やっぱり今のお前、らしくねぇよ』


ふと、理科の先生とあの人の言葉が重なった。

副長………ってことは私……!!


「もしや高蔵、成績のことより願い事を唱える方が大切だったんじゃないのか?」


笑いながら、冗談っぽく、先生はそう言った。

でもそれは私にとって、冗談ではないんだ。

少し疑っていたけど、あれは夢じゃなかった。


本当にタイムスリップしていたんだって、今この時が教えてくれる。


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