ひとひらの願い―幕末動乱―
「先生、私……」

「何だ?」

「願い事、叶ったみたいです……!」

「は…?」


先生は思わず、手にしていたチョークを落とす。

クラスメイト全員の視線が、一気に私に集まった。

みんな私の願い事を知らないけれど……


「本当に!? 織!」

「うん!」


麗奈までもが信じられないように、私に驚いた顔でそう聞く。

タイムスリップ自体、あまり信じていなかった。


でも、幕末に新選組と過ごした一日は、夢じゃない。


「本当だよっ!」


みんなに今までのことを話したいくらい、テンションはいつもより上がっていた。


―新選組の皆さん。


私は心の中で副長と沖田さんに誓ったように、自殺なんてしません!

そんな馬鹿な考えは、もう持ちません!


だからみんなも、生きて、生き抜いて。

後世に語り継げるようなことを、成し遂げてくださいね。


――チリン


鈴……山崎さんからもらったものだ……!

懐にある制服のポケットに、ちゃんと入っていた。


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