悠久の貴女へ
実は、織さんとは一回も会っていない。


一度くらい会ってもよかったはずなんだけどなぁ…?

…とも思いつつ……



「山南さんが竹刀持ってるの、久しぶりに見ました!」


「そうだよね。ずっと部屋に籠もってたみたいだからね」


「外にも出られないんですよ~」


「大変だね」



山南さんの優しさは、とても落ち着く。


その優しさの中にも強さがあって、刀もすごく使える。

だから余計心配なんだけれど……



「私は隅の方で見てますから」


「うん、その方がいいね。…みんな、再開して!」


「「はい!」」



山南さんの声を聞きながら、私は隅に移り、座った。


ここから見る景色は、初めてのものだと思う。

今まで、私はずっと、あっち側だった。

なのに今はこっち側、見ていることしかできない。


何か薄そうだけど、厚く見えない壁に隔てられているような、そんな気がする。


そしてもう一人、この中にその壁に隔てられている人がいるんだ。


誰も気づかないような、そんなところで、自ら壁を作っている人が。



「山南さん……貴方の優しさが、怖くなるときがあるんです」

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