ゴーストオブアイデンティティー
「あれ?逃げないでよ、お姉さん。私、聞きたい事があるんだからね?」

後退すると、闇風は一歩前進した。

「な、何よ?」


ニタリ、と、闇風は粘つく嫌な笑いを桐に向けた。


「あいつ…何処?」


「…あいつ?誰の事?」

代名詞で言われても、解るわけがない。


しかし、明らかに動揺した人物がいた。


「闇風…そんな事を聞いてどうする?」

幸福は、動揺していた。

ほんの僅か、身体が強ばったのを、桐は判った。

桐でなくとも、世界の誰もが驚くであろう、幸福の動揺。


その動揺で「あいつ」とは誰かを桐は理解する。


「運命…………」


「その名を言わないでお姉さん!!…穢らわしい」

その一瞬間に芽生えた殺意に、桐は身を凍らせた。


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