ゴーストオブアイデンティティー
「でも…でも死ぬとは全然関係ないじゃない!?あなた、既に死んでる事になってるんじゃないの!?」


納得がいかない。いくわけがない。

「死ぬことがあなたにはそんなに重要なの!?」

「ああ、重要だ」


幸福は煙草を新しく一本取り出した。

「欲を知らない人間を、お前は見たことがあるか、倉崎桐?」

欲を知らない人間…

「無い…わ」

「そう、無い。ゼロだ。いるはずがない。欲を知らない人間はいない。故に……………………欲に上限のある輩は、いない。そして、その欲を造り出す、充たす機械が…僕だ。まあ急かすな倉崎桐。嫌でも話してやる」


何か言おうとした桐を止め、幸福は続けた。

「僕は機械だ。他機能多機能で高性能の有機体の機械だ。それを人は知っている。僕が消したAIDS撲滅薬のデータも、新種の穀物のデータも、実はコピー品があった。あのクソ親父の手配でな。よくもまあ、やってくれたもんだ。……胸くそ悪ぃ」


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