ゴーストオブアイデンティティー


      **


ドサッという、柔らかいモノが地面に落ちる音がした。


それが自分である事に気付く。

「あ、あ…れ……?どうしちゃっ…たの………か…な……」

路地裏。

薄汚れたコンクリに覆われた地面と接吻しながら、ヤヨは身体を動かした。

動く度に、全身から血が吹き出す。

「い…痛い…ん…ですよ……ね…あはは、わ、解らない…な」

起き上がろうとして失敗する。


左腕が、ごっそりと無くなっていた。強引に引き千切られ、傷口から数本、血管や、神経らしきモノが垂れ下がっている。

右はかろうじて残っている。


かろうじて、だ。

腕には弾痕が無数にあり、手は指が四散、甲しか残っていない。
腹部には貫通するほどの裂傷。

足は、右が全く動かず、奇跡的にも、左は無傷だった。


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