ゴーストオブアイデンティティー
罵倒?


幸福…………は私を、嫌っている。明らかに、解りやすすぎる程に。どんな数字の羅列よりも、物質の構成よりも、リアルタイムで伝わってくる。



そんな幸福は、何故私に光を与えたのだろうか。


闇風は、目に装着したゴーグルを撫でた。こびりついた血が、ざらつく。


私の目となり希望となったこれは、幸福が与えてくれた。
世界で一番最初に見たものは、私を覗きこむ幸福の顔………


あの頃は嫌われていなかったと、思う。
私を救った幸福は、限り無く兄だった。母親も知らない、冷酷な父親という「飼い主」、闇風を欲するひん曲がった愛情を注ぐ「兄」という生き物………

そんなどうしようもない状況で、幸福は唯一の理解者、「家族」だった。


ほんの数年だったが、闇風は生き甲斐なるものを見つける事が出来た。
僅かだが、光が差したのだ。


一般人、「人間」として生きる道が、か細くとも見えたのだ。


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