狼と赤ずきん。
「ねぇ、さっきの趣味が読書ってウソでしょ?」
長髪の子が辺りを見回して小さな声で言った。
「当たり前じゃ~ん!
ウチが本読むわけないじゃ~ん。
何も思いつかなかったから言っただけ。」
「やっぱり~!だと思った~!アハハハハ!」
2人はお構いなく笑い出した。
「コラッ!!そこの女子!静かに!」
先生が教卓を叩き、怒鳴った。
「はぁ~い。キャハハハ。」
2人組みの女子は
またヒソヒソ話を始めたが
さっきよりも小さな声で聞き取れなかったので
聞くのをあきらめた。
「荒月!次、御前だぞ。」
「はぁ?俺?面倒くせぇ~。」
荒月は嫌々椅子から立った。
背が高く、背筋もピンとしていて
こんな奴にはもったいない言葉だけど
凛々しくて格好良かった。