幕末Drug。


心強い護衛と言われれば、思い付くのは沖田さんか土方さんだ。でも、私達にずっと構っていられる程、暇では無い筈。


『護衛って…どなたですか?』


『斎藤さんです!』



私の問い掛けに、満面の笑みで答える市村君。


『さ…斎藤さんが?』


『はい!斎藤さんはめちゃくちゃ強いんスよ!だから、何が有っても安心です!!』


何かあっては困るのだけど…と心の中で呟きながら、私と雛は顔を見合わせ苦笑いを浮かべた。



『支度が出来たら、玄関先に居て下さい!俺は斎藤さんに声掛けて来ますんで。』


そんな私達の表情を気に留める事も無く、市村君は意気揚々と部屋を出て行った。





『…斎藤さん、か。』



斎藤さんと聞いて思い浮かぶのは、冷たい瞳に変わる事の無い表情。

…多分、私の事があまり好きでは無いのだろう。

『ちょっと、とっつきにくそうだけど…まあ話してみなきゃ分からないよね。』



雛は大して気にした様子もなく畳から立ち上がると、僅かに緩んだ着物の襟元をきちんと正した。


『…ん、そうだよね。まあ買い出しだから、気楽に…ね。』

私の言葉に、雛がしっかりと頷く。


『さ!待たせちゃ悪いし、行こうか。』

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